事前準備2

学生を例にとってみると、企業にとって出身校や学生時代に力を入れたことはもちろん選考対象なのは間違いありません。
ただし、オープン雇用の場合は、職業準備性(事前準備1参照)が整っていることの方がより重要性を増します。
では、どんな点が手帳保持者として魅力になるのでしょうか。

間違ってはいけないのは
「健常者のように見せる」ことではないことを知っておくことです。

 

オープン雇用で
企業が魅力だと感じるポイント

一般的にオープン雇用で、企業側がエントリーシートや面接で確実に見極めたいことは下記の4点です。

・服薬・通院の状況
・障がいの理解・受容度
・社会的つながりやサポートの状況
・気分の変化や体調の波の把握

これらが明確になっており、面接ではきちんと説明できることで、
応募者の魅力度は高まっていきます。

 

 

「具合が悪くなったら病院に行く…」
「薬の飲み忘れがある…」

そんな状態で、健康な状態は維持できるでしょうか?
障がいの状態にもよりますが、
「日常生活が安定していることが望まれる」
イコール
「定期的な通院、主治医からの指導・服薬ができている」につながります。

「薬を飲んでいない方が良い」「病院に行っていない方が休まなくて好印象」ではありません。
安定した生活が継続できていることが魅力になります。
自分で服薬・通院を辞めるような判断は自己管理・健康管理ができていないと見られ、就労にはまだ早いと受け止められるかもしれませんね。

定期的な通院は、安定就労のための一つのポイントであることは、企業も理解しています。
最近では、通院のための通院休暇を導入している企業もあります。

 

 

「配慮いただくことはありません…」
「問題になったことはありません…」

本当でしょうか?
手帳保有者である理由は、苦手や不便があり、配慮の必要があることを示しています。
それを見えないようにしたり、隠したりすることはかえって自分の魅力を下げるようなものです。

オープン雇用では、企業は合理的配慮を前提に採用活動を行っています。企業は配慮がないことが魅力なのではなく、あとから配慮事項が次々と出てくることが困るのです。

スロープなどのインフラや、読み上げソフトのようなツールの利用に加え、コミュニケーションの方法や職場環境での配慮が必要であれば、それを伝えていく必要があります。

もちろん合理的配慮は、企業にとっても合理的かどうかが問われます。
自分で克服できるものは克服することは大前提として、どうしても苦手感、不便感があることをサポーターの方とよく相談し、自分自身を理解し正直に伝えていくことが、企業にとっての魅力につながります。

 

 

就職=社会人=自立
自立は「一人で何でも頑張り生きていく」という解釈をされがちですが、残念ながらそう見えるだけ。
障がいがあってもなくても、人は誰しも様々な人たちのサポートや関わりの中で、生活をしています。
料理が苦手で「食事は外食」という方は、飲食店のサポートを受けているし、
病気になれば多くの方は医療機関や薬というサポートを受けることになります。
障がいがある私たちが働く上では、学生時代に受けていたサポートだけでは不足することがあるかもしれません。

例えば、仕事がうまくいかないとき、引っ越しをするとき、大きな買い物をするとき…
両親はもちろん相談相手になりますが、広くものごとを検討していくのであれば、公的な福祉サービスや支援センターなどへの相談も有効です。

自分が働く上では、どのような支援が周囲にあるのか、調べて洗い出してみましょう。
多くのサポーターがいることは、困った時、不安なときの備えができている=自立していることにつながり、企業にとっての魅力になっていきます。

 

 

 自分へのストレス要素や、体調を崩してしまう要因があるのであれば早めに気づいて対処する必要があります。

組織で働く方は誰しも、大小様々なストレスの中で仕事をしています。
スピード・量・幅・質が求められると、それはいい意味でのやる気や緊張感を感じたり、
時には不安・焦り・いらだちを感じながら日々を過ごすことになります。

この焦り・プレッシャーになる部分(心理的要因)が自分の体調に変化を及ぼす予兆になるのであれば、それをサポートしてもらう発信力が求められることはお伝えしてきました。

ただ、障がいのある私たちには、それ以外にも様々なストレス要素があります。
光や音、温度、混雑度合いなど(物理的要因)や、
仕事の背景にある人間関係やコミュニケーション(社会的要因)もその種類です。

日々の生活の中でご自身のストレッサーを正しく把握できること、そして気分の変化や体調の波を感じたときに適切なケアを行えていることは、企業にとっての魅力になります。

無理は禁物ですが、できる限り様々な場面を経験し、自分の状況を把握しておくことは、就活の準備の1つになるとも言えます。


執筆:株式会社セルム NANAIROチーム