事前準備1

障がいのある私たちにとって、就活の準備は何をすれば良いのでしょうか?
自己分析はもちろんですが、手帳保有者として活動するからには、企業が障がい当事者の何に関心を持っているのかを改めて確認し、
準備していくことが望ましいと言えます。その要素を早速、確認して行きましょう。

職業準備性のピラミッドを理解しよう

このピラミッドは、障がいの有無に関係なく、働いていく上で必要となる能力を5段階で示したものです。
働くことについての理解・生活習慣・作業遂行能力や対人関係のスキルなど、基礎的な能力であり、下から順に積み上げていくことで就職への可能性を高くしていきます。

「職業適性」=スキル、資格、経験など
「基本的労働習慣」=組織内での集団行動、ルール適応力など
「対人スキル」=適切なコミュニケーション、協調性など
「日常生活管理」=生活リズム、自立した日常生活と社会生活など
「健康管理」=障がいの理解、体調管理(服薬管理、健康維持)など

一般雇用(クローズ雇用)では「基本的労働習慣」以下の能力は、基本的には応募者が管理を行います。しかし、オープン雇用では、障がいのために影響があるかもしれない「基本的労働習慣」、「対人スキル」、「日常生活管理」、「健康管理」までが、採用の重要な判断材料となってきます。企業は「健康管理」と「日常生活管理」はご自身でケアできていることを望んでいるため、面接ではきちんと説明できる必要があります。
健康や日常生活の安定のため、自身でどのような対応をしているかをお互いに理解することが大切です。
それでは、ひとつひとつもう少し詳しく見てみましょう。

 

オープン雇用を目指すにはご自身の障がいへの理解・受容がスタートです。
自分の状態、毎日の生活の中で苦手と感じていることや不便感の把握を行い、企業に配慮事項を伝えていきます。

実際に障がいの理解は、自分ひとりではなかなか難しいものです。
主治医や周囲のサポーターの方とよく話し合い、
自分の理解・受容を深めることも良い方法の一つです。

体調は誰でも日々変化します。
ストレスと感じる要因や季節、天候、ホルモンバランスなど、体調の波を確認しておきましょう。

 

安定した長期的な就業には、健康維持のため睡眠や食事といった基本的な生活管理が大事です。
睡眠と食事は体調をはかる重要な指標であり、ここ数年、企業でも生活管理とストレスケアの重要な結びつきが注目されています。
ご自身の健康面を中長期で管理できるということは、面接でのアピールポイントになります。
自分にあった一定の睡眠時間、定期的な食事を習慣づけましょう。

誰でも得意なタイプの人と苦手なタイプの人がいますよね。
組織の中にはその両方の人がいるため、障がいの特性により、苦手なコミュニケーション方法、環境がある場合は、その理解を深め、正しく配慮事項を伝えていきます。
これらを踏まえて「対人スキル」「基本的労働習慣」を考えてみます。

 

「初対面の人と話すことが苦手…。」
「会議など多くの人が参加する環境は苦手…。」

自分が苦手や不便を感じた時に、我慢をせずに正しく伝えられる力=「発信力」は、企業が求める対人スキルの1つです。

「社会人たるもの、休んではいけない!」と思ってしまうかもしれませんが、
企業の考える「勤怠が良い人」は、体調が悪い時に正しく伝え、
しっかり休んで翌日には元気に出社ができる人のことです。
無理して体調を悪化させ、長期の休みとなることを避けなければいけません。

 

「時間に遅れがち…。」
「敬語がぐちゃぐちゃ…。」
「清潔感がない…。」

組織の中にあるルール、報告・連絡・相談、規則の順守などは、組織に入ってから学べば良いことです。
ただし、時間を守ること、マナーやエチケットがしっかりしていること、言葉づかいが適切であることは、就職活動の時に見られています。知らないならしっかり勉強して、訓練することが重要です。

障がいによってできないこともあります。
その際は、エントリーシートや面接時に配慮事項として伝え、
相互理解に努めましょう。

 

2021年3月に法定雇用率※が2.3%となり、障がいのある方の企業での活躍が広がっています。
障がいのある方を雇用する企業は年々増加し、通院への配慮や職場環境の整備など、私たちの障がい特性への理解も進んでいます。


私たちにとっては、ご自身の障がいを開示(オープン)し、障がい者枠(オープン雇用)で就職活動を行うことで、自分だけで行うのが困難なこと、苦手な仕事や環境を理解・配慮してもらいながら、安心して働く事ができるようになってきました。
※法定雇用率:事業主に義務づけられた、雇用する必要のある障がいある方の割合

 

オープン雇用では、「職業準備性のピラミッド」を理解し、ご自身の障がいへの理解・受容、定期的な日常管理に加え、正しく配慮事項を伝える「発信力」がポイントです。
これからの就職活動に備え、
改めてご自身・サポーターの方と整理してみましょう!