障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.2

朝日新聞グループの株式会社朝日エージェンシーが主催する「障がい者のための就職・転職フェア SMILE」。2023年春の日曜日、大手町のあるホールで開かれたこのフェアには、身体、精神に障がいがある求職者300人近くが訪れた。首都圏最大級の障がい者向け就職・転職フェアに来場した人たちの仕事探しにはどのような事情があるのか、現場で声を聞いた。

骨折の後遺症で両下肢に障がいが。
職業訓練でウエブ作成の技術を学び
在宅勤務可能な仕事を目指す (50代男性、両下肢に障がい)


パワハラやストレスで健康を害し 転職を繰り返すことに

 両下肢に障がいがあり、歩行には松葉杖が必要なTさん(50代男性、両下肢の障がい)は、これまでに6つ職場を経験してきた。

「職場環境の問題で健康を害することも多く、そのたびに職場を変えざるを得ませんでした」
いったん体調を崩してしまうと、辞めてもすぐには就職活動ができない。健康が回復するのを待って次の職場を探す。そんなことを繰り返してきたという。

 最初の職場を辞めたのは、上司のパワハラが原因だ。Tさんは精神的に追い込まれ、体調を崩してしまった。それでも職場に迷惑を掛けてはいけないと考えて、土日に病院へ行って点滴を打ちながら、平日は勤務を続けた。

 しかし、徐々にうつ病の症状も出るようになり、「これ以上続けるのは難しい」と判断して辞めた。体調の回復を待って再就職したが、その職場でもストレスが重なり、うつ病の症状が再発して結局、辞めることになった。

 採用時の条件と、入社してからの条件が異なったケースもあった。ビルメンテナンスの会社に就職したときのことだ。Tさんは、現場スタッフとして採用されたのだが、実際に仕事を始めてみると、急に「責任者になってくれないか」と上司に頼まれたという。

 ビルメンテナンスの仕事は、資格保有者がいなければ業務を担当できないことも多い。Tさんは電気主任技術者の資格を持っていたため、責任者になって欲しいと頼まれたのだ。
ビルのメンテナンスは非常に危険を伴う仕事。そんな現場で責任者になることは、大きなストレスがかかる。Tさんは過去にうつ病の経験があるから、ストレスの大きい職場は避けたかった。

「断ろうと思ったのですが、誰も引き受け手がなくて困っているようだから、結局は引き受けたのですが、最初に言ってほしかったですね」

 こうした経験を重ねてきたTさんだからこそ、会社を選ぶときには、給与などの待遇面はあまり重視しないという。

 

会社選びで基準にしていることは…。


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