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障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.1
さらに、彼は次のように付け加える。
「相変わらず人間関係は苦手で、むやみに干渉されると精神的に辛くなってきます。理想を言えば、適度に距離感を保ってくれる職場で働きたいですね」
誰しも初めての就職活動では、大なり小なりのプレッシャーを受けるものだろう。子供の頃から対人面で苦労を重ねてきたなら、抱えている不安は計り知れないことだろう。Sさんはこう吐露する。
「もちろん、入社したばかりの新人に対して、最初から高いレベルの成果を求めるようなことはないでしょう。こつこつと仕事をこなして信頼を得て、次第に重要な役目を与えられるようになるのだということはわかっているつもりです。とはいえ、今の僕は不安のほうが先走ってしまい、自分の能力を超える仕事を任された場合に、果たしてちゃんと期待に応えられるのだろうかと心配になってきます」
おそらくSさんの心中は、期待と不安は入り乱れて絡み合っている状態なのだろう。だが、自分に適した職場と出合い、社会人として歩み始めていくにつれて、次第に不安は消え去っていくはずだ。そういった意味でも、まさに目の前のSさんは、自分自身にとって非常に大きな意味を持つ一歩を、前に向けて踏み出そうとしている。
「障がい者のための就職・転職フェアSMILE」の出展企業はいずれも障がい者雇用実績があり、採用に積極的な優良企業だ。例えば、「障がいのある社員に対しては職場の貴重な人材として成長を期待しており、【1:本気で期待する】【2:必要な配慮はするが特別扱いはしない】【3:一生懸命働きたい情熱のある社員を積極的に応援する】」などの取り組みを掲げている。 |
(取材・文/大西洋平)