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障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.6

深夜残業を減らす相談をせずに 辞表を出したことを後悔

 それでも働きやすい会社だったから、Cさんは転勤を受け入れ、環境が変わったことに対する不安を感じながら働いて、再び本社に戻ることができた。ところが、新卒の頃になじんでいた社内システムが更新されており、使い勝手が大きく変わっていた。

 「このシステムを使いこなすのが大変で、仕事が深夜に及ぶことが多くなりました」

 新しいシステムに翻弄(ほんろう)されていたのはCさんだけではない。周囲の人たちも長時間残業が当たり前になっていた。システムに慣れれば早く帰れるようになるだろうという期待もあったが、「このままでは体を壊してしまう」という不安の方が強く、3年ほど働いた会社を辞めることを上司に伝えた。

 しかしCさんはなぜ辞表を出す前に、「深夜労働は体力的に厳しい」「残業を減らしてほしい」という要望を出さなかったのだろうか。

「私の周りの方々も深夜まで働いていたので、自分だけ早く帰りたいと言えなかったのです。今思えば、要望を出さないまま辞めてしまったことはもったいなかったと思っています」

 そして飲料メーカーを辞めて、病院の医局秘書の仕事に就いた。 「秘書として働く先輩のアシスタントとして入ったのですが、医局内の人間関係は複雑で大変でした」

 Cさんは多くを語らないが、アシスタントとはいえ医師、看護師、事務方などそれぞれの立場からの要求の板挟みにあってつらい経験をしたようだ。

「結局、病院は1年ほどで辞めて、実家の仕事の手伝いをしていました」  Cさんの実家は宿泊施設を運営している。

「外国人の宿泊客が多い施設なので、実家から英語ができる人が必要だから戻ってきてほしいと言われて、受付の仕事などを担当していました」

 宿泊施設の仕事は楽しかったが、「このままでは“実家の仕事のお手伝い”で終わってしまう」「自立したい」という思いが強く、5年ほど働いて実家を出た。

 
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