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障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.9
もちろん、大企業にも、中小企業にも障がい者雇用に理解のある企業はたくさんあるはずだ。Mさんもそれは分かっているのだが、情報が少なく巡り会うことは容易ではない。だから、「SMILE」のような場が頼りになると言う。
「今は生活のことを考えなければならないので、自動車業界にこだわるつもりはありません。雇用形態は正社員が望ましいのですが、契約社員でも正社員登用をうたっていればいい。不安は、私自身が発達障がいと向き合って長く働くことができるのかというところなのですが、就労移行支援制度などをうまく活用して乗り切りたい。『SMILE』に参加している企業様と話した感触では、障がいに対する理解が深く、制度も配慮も行き届いているようでした」
ただ、配慮され過ぎるのも「自分にとっていいことだとは思わない」とMさん。それは例えば、「あなたの仕事はここまででいい」という配慮されてしまうと、自分の能力を伸ばす機会が失われるという意味だ。
「長く勤める中でいろいろな仕事を経験してキャリアを積み、そのキャリアが給与や責任の重さに反映されることが、私のモチベーションアップにつながると思うのです。だから、障がいと向き合いながら、できる限りの仕事がしたい」 そんなふうに前向きに語るMさんを働く仲間に迎えたい願う企業は、きっとある。
「障がい者のための就職・転職フェアSMILE」の出展企業はいずれも障がい者雇用実績があり、採用に積極的な優良企業だ。来場者からは、「就活を始めたばかりで初めての参加だったので、雰囲気を感じることができました」という感想があった。 |
(取材・文/山本信幸)