障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.10

今春、大手町で開催された「障がい者のための就職・転職フェアSMILE」。訪れたDさん(20代男性、双極性障がい)は、起業して教育系の会社をつくることを目指していると話す。


起業の目標を持って教育系の会社で働きたいが、
障がい者対象の求人はほとんどない
Dさん(20代男性 双極性障がい)


 2年間入退院を繰り返した後 仕分けの仕事に就いたものの…

 気分が高まったり落ち込んだり、躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障がい(躁鬱病)により、就労移行支援を受けて通所しているというDさんには、正社員として働いた職歴がない。

 躁鬱病を発症して大学を中退、フリーターとして時間給で働いていたところ、病状が悪化し、「24歳から26歳までの2年間は病院の入退院を繰り返し、まったく仕事ができない状態が続いた」という。

 ようやく病状が安定したところで、インターネット経由の小売企業で派遣スタッフの仕事に就いた。出荷指示に従って商品を集めるピッキングが主な作業だ。

「難しい作業ではないのですが、自分には合っていないと感じました。それに体力的につらかったことで限界を感じ半年ほどで辞めました」

 実はDさんには目標がある。

「それは起業して教育系の会社をつくることです。その目標を達成するため、身分は正社員でも契約社員でも構わないのですが、大手の教育系の会社で2、3年働いてノウハウを吸収したいと考えています」

 Dさんによれば、教育系の会社は障がい者向けの就職フェアには出展していないことが多く、就職が難しいという。そこで学習塾講師から始める道も考えている。学習塾の募集もほとんど見かけないと言うが、自宅近くの有名学習塾での募集があったので、「クローズ(障がいを開示しない)で応募しようかなとも思います」。


塾講師になるためのDさんの切り札とは?

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