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障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.10

誰でも講師になれて 空いている時間がお金に変わる

 Dさんの目標には、救い出す仕組みにある。

「教育を主軸にしたSNSを運営したと考えています。教育型SNSと自分で名付けたのですが、学びの精神を大事にしている人なら誰でも講師になれて、誰でも生徒になれるというコンセプトです。具体的には意欲と経験、スキル、ノウハウがあれば講師になれる。専業でなくても、空いている時間を活用してSNSに投稿すれば利得に変えられるプラットフォームですね。SNSの文字や写真よりも動画で学ぶ方が理解しやすいというのならYouTubeを使った教育型動画の提供も考えられます」

 既存の学習塾が専属講師の講義内容を動画配信している例はよく見る。株式会社ベネッセコーポレーションが運営する、社会人向け学び直し動画学習の「Udemy」はプラットフォームとしてはDさんの目標に近い。でも、児童生徒を対象とし、誰でも講師になれるというコンセプトの教育型SNSや動画配信は先例がないのではないか。

 Dさんには、こんな構想もある。

「不登校の児童生徒に向けた教育の場の提供です。学校へ行けるようになればもちろんいいのですが、行けないのであれば自宅で学べばいい」

 文部科学省が「学びの多様化学校」と呼ぶ不登校児童生徒を対象とした学校はあるし、通信教育の制度もある。だがDさんは、もっと手軽に勉強ができて、面白くて、今いる場所が学校であるという仕組みをSNSや動画でつくりたいのだ。実際に始めてみると、「たくさんの難問に突き当たると思いますが、潜在的な需要があると思うので、いつかは実現したいですね」とDさんの夢は広がる。


10月22日に大手町三井ホールで開催される「障がい者のための就職・転職フェアSMILE」。前回のフェアでは、6割の人が出展企業のブースを三つ以上訪問している。フェアに参加しなければ得られない貴重な情報が入手できるはずだ。

(取材・文/山本信幸)



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