今春、大手町で開催された「障がい者のための就職・転職フェア SMILE」。やりがいやスキルアップを目指すNさん(20代男性、精神障がい)、Mさん(30代女性、精神障がい)はどのような転職先を求めているのだろうか。
単調な仕事に将来性を見出せず
やりがいやスキルアップを目指して
転職活動をスタート
Nさん(20代男性、精神障がい)
Mさん(30代女性、精神障がい)
Nさん(20代男性、精神障がい)は、さらなるやりがいを求めて、転職活動のために「障がい者のための就職・転職フェア SMILE」(以下、「SMILE」)に参加した。精神障害の3級の認定を受けたのは18歳のとき。症状は安定しているが、ときには体調が悪くなることもあり、薬の服用は続けている。
「いまの勤務先は、体調が悪いときには休むこともできますので働きやすいのですが、働きがいが感じられないため、転職をしようと考えています」
Nさんは地方の国立大学を卒業後、上下水道のシステムを管理する会社に新卒で就職した。数多くある企業の中から、現在の会社を選んだポイントは大企業であったこと。また、仕事の内容が人の生活に欠かせないインフラである上下水道を対象としていることから、社会的に重要な仕事であると考えたからだ。
Nさんは現在、技術職として働いている。意義のある仕事ではあるが、担当業務は「同じ作業の繰り返しで発展性がない」という。
浄水場や下水処理場はコンピューターで制御されているが、システムがエラーを起こし止まってしまえば大変なことになる。とくに浄水場が止まってしまうと水が腐敗してしまい、復旧には相当な手間と時間がかかってしまう。それを防ぐために、システムメンテナンスをするのがNさんの仕事だ。
問題は、新しいシステムの導入が難しいことだ。例えば、ウィンドウズのバージョンアップがあっても、システムを止めて更新することができないため、従来のシステムを改造しながら使い続けていくしかないという。
最近は市町村の合併によって、上下水道のシステムの統合が必要になることも多いという。新たなシステムを導入することは難しいため、従来のシステムを改造しながら使い続けていくしかない。
「結果的に新しいことへの挑戦がしにくい職場なので、転職を考えました」という。
公共事業であるため、給与が上がりにくい面もある。水道料金が高額になると、負担が難しい世帯も出てしまう。よってシステム会社に支払う費用も「できるだけ抑えたい」との気持ちが働き、最終的にはNさんのように受託会社で働く社員の給与も抑えられてしまう。
「その上、できるだけすみやかに作業を終わらせることを求められるので、しんどいですね」