障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.5

朝日新聞グループの株式会社朝日エージェンシーが主催する「障がい者のための就職・転職フェア SMILE」。今春の日曜日、大手町のあるホールで開かれたこのフェアに訪れたAさん。脳出血を発症し15年治療とリハビリを続け、いよいよ再就職にチャレンジする彼に話を聞いた。


脳出血で右半身に麻痺が残る。
15年の治療とリハビリを経て社会復帰を目指し
就職活動を開始(60代男性、身体障がい)


就労移行支援事業所で 再就職の不安を解消

 Aさん(60代男性、身体障がい)は、15年ほど前に脳出血を発症し、それから治療とリハビリを続けてきた。

「ここにきて、ようやく動けるようになったので、仕事を再開したいと思い、就職活動を始めました」という。右半身に麻痺があり、日常生活では車いすが手放せないが、再就職にチャレンジできるまでに回復した。

 Aさんは、1984年から2007年までの23年間、新聞販売店で働いていた。新聞の配達から事務までこなすベテランだった。

 本来であれば、その経験を生かせる職種で仕事に復帰できればいいが、移動に車いすが欠かせない現状では難しい。そこで業務上で移動の必要がない事務系の仕事を探している。

 仕事を再開するに当たっては、就労移行支援事業所にも通った。

 就労移行支援事業所は、障がい者が一般企業などに就職するために必要な「職業訓練」や「就活支援」、「定着支援」などを行っている。

 Aさん自身も働く意欲は十分にあるが、仕事をすること自体、約15年のブランクがある。「どの程度の業務ができるのか」、不安があった。

 就労移行支援事業所で「職業訓練」を受けることで「自分がどんな風に働いていけるか」をイメージできる。

 その後は、実際の求人に応募するための「就活支援」を受ける。また、就職した後も職場に定着できるようサポートをしてくれる。

 Aさんも事務系の仕事に就くために必要な基本的な知識やスキルを身に付けて、ある程度の業務をこなせる自信がついたという。

「あとは、実際に働いてみないと分からない面も多いですから、仕事をしながら覚えていこうと思っています」

 情報収集にも役立ったという。車いすでの移動に関するさまざまな情報が蓄積されていたので、今後の行動をイメージするのに大いに参考になったという。

 就職するための準備は整ったのだが、実際に就活をしてみると、簡単ではなかった。


事務系の仕事の多くは経験者が対象…。

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