5-3
障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.5
とくにAさんが興味を持ったのが車いすへの配慮だ。本社には福祉エレベーターが設置されており、ビル内も車いすで移動が可能になっている。また、公共交通機関での通勤が困難な場合は、ビル内の地下駐車場を無料で利用できるサポートもある。
Aさんは自分で運転ができないので、自家用車での通勤はできないが、「福祉タクシーなど専門タクシーを利用して通勤できれば」と考えている。
デスクワークが可能な仕事が見つかったとしても、通勤や社内の移動では車いすが必須になる。職場が車いすに対応していることが必須だと考えていたAさんは、同社のサポート体制があれば、十分に働いていけると考えた。
23年3月に開催された「障がい者のための就職・転職フェア」に同社が出展することを知り、Aさんは面接を受けるために参加した。
Aさんは給与などの待遇面にはこだわりは持っていない。「通勤ができて、しっかりと業務をこなすことができれば、それでいいと考えています」。15年もの間、治療とリハビリを続けてきただけに、まずは社会復帰することを優先して、「徐々に活動の範囲を広げることができれば」と考えている。
「障がい者のための就職・転職フェア SMILE」の出展企業はいずれも障がい者雇用実績があり、採用に積極的な優良企業だ。来場者からは「障害者採用がどのようなものか情報収集のために訪れましたが、どのブースもとても詳しく説明してくださいました」という感想があった。 |
(取材・文/向山勇)