障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.7

今春、大手町のあるホールで開かれた「障がい者のための就職・転職フェアSMILE」の会場を訪れたEさん(30代男性、精神障がい・身体障がい)。苦難を乗り越え、就労移行支援事業所でプログラミングについて学び、前向きに就職を考えるEさんに話を聞いた。


自閉スペクトラム症に加えて、
交通事故が原因で脳髄液減少症に。
苦難を乗り越え、プログラミングの仕事に挑戦する
(30代男性、精神障がい・身体障がい)


高3の夏休みに交通事故に遭い 30歳になるまで寝たきりの生活

 精神障がいと身体障がいという二つのハンデキャップのみならず、障害者手帳の発行でも苦労し、さらにコロナ禍に見舞われてしまうという苦難の連続のEさん(30代男性、精神障がい・身体障がい)。だがそれでもくじけず、就労移行支援事業所でプログラミングについて学んだ。就職先についても、そのスキルを生かせるところを選びたいと考えているが、不安も隠せないという。

 もともとEさんは、他人とのコミュニケーションが苦手で、特定の物事に強いこだわりを持つという特徴のある自閉スペクトラム症と診断されていた。そのうえ、不幸にも肉体的な障がいまで負うことになった。

 高校3年生の夏休みに交通事故に遭って、その後遺症に苦しめられ続けていた。リハビリで少しは回復したものの、依然として身体面の不調は続く。

 担当の医師にその旨を訴えても、原因はよくわからないと言われた。不調から開放されない限り、働くこともままならない。

 Eさんは苦悶する日々を送っていたが、たまたま目にした新聞記事で、一般的にはほとんど知られていない病気に苦しむ人のことが紹介されていた。

「ちょうど20歳になるころでした。症状などがあまりにも似ていたので、その専門医に診察してもらいました」

 彼の読みは的中し、自分が患っているのは脳髄液減少症だということがついに判明した。もっとも、この疾患は症例が少ないうえに、症状が見られた初期段階から的確な治療を行わないと、完治が難しいという。それから治療を始めたものの、Eさんは30歳になるころまで寝たきりの状態が続いた。


症例が少ない疾患であることがさらなる苦難を!?

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