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障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.3

障がいの自己理解ができていないので 会社との距離感が分からない

 Cさんは障がいを開示しなかったと言うが、意図的に隠していたわけではない。

「人の目が気になったり、音が気になったり、自分でもおかしいと感じて精神科を受診したのですが診断がつかなかった。そのため一般雇用で働いては退職してという繰り返しになったのです。そこで改めて受診して障害者手帳(精神障者保健福祉手帳)を取得して、前の会社は障がい者枠に応募したわけです」

 ただCさん自身、次の職場で長く働くために、会社にどのような合理的配慮を求めればいいのか、よく分からないと言う。合理的配慮とは、障害のある人から会社が何らかの対応を求められたとき、負担が重すぎない範囲で対応に努めることだが、「自分自身で自己理解とか障がい理解ができていないので、どのような配慮をしてもらえばいいのか分からないのです」。

 障害者雇用義務の対象として精神障がい者が加わったのは2018年4月だから、会社側にもまだ十分な知見が蓄積されていないケースも多く、働く側、雇う側とも“加減”がわからないのだ。それでもCさんは、条件に合う会社を4社見つけることができた。多くの転職経験は悪いことばかりではない。“会社の目利き”に少し自信がついた。次は長く働けそうだ。


「障がい者のための就職・転職フェアSMILE」の出展企業はいずれも障がい者雇用実績があり、採用に積極的な優良企業だ。企業によってブースの対応は異なるが、「障がいのために困難なこと」をありのままに伝えたうえで、「こんな配慮があれば会社に貢献できる」、「就職後はこんな風に成長していきたい」などのポジティブなアピールをすることが大切だ。

(取材・文/山本信幸)



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