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障がい者が話す「私の仕事探し」VOL.8
その準備として就労移行支援事業所に通ってみると、求人をしている企業はさまざまな障害に対して理解や配慮をしていることが分かり、安心した。
Sさんは聞こえる音量を下げるために、仕事中に耳栓を利用することもある。声を掛けられても聞こえにくくなってしまうが、障がい者への理解のある職場では気を使わずに仕事ができそうだ。「これなら私も体調を崩さずに落ち着いて仕事ができると思いました」(Sさん)
Sさんは23年1月から本格的に就職活動を再開し、最初は転職エージェントを利用していた。
「ただ、転職エージェントは現職で働いている人を優先して企業に紹介しているようで、なかなか仕事の紹介を受けることはできませんでした」
そこで、「SMILEフェア」に参加してみることにした。企業の採用担当と直接会えるので「チャンスがある」と考えたからだ。
「健康保険組合で労務の仕事をしていたので、同じ職種で障がい者枠の募集をしている企業を目指しています」(Sさん)
22年10月に会社説明会に参加した企業が23年3月の「SMILEフェア」に出展していることを知り、面接を受けるために参加したという。「いまは在宅勤務ができる企業を中心に探しています」(Sさん)
コロナ禍を経て在宅勤務が可能な企業は増えている。Sさんのように周囲の環境の影響を受けやすい人にとっては、1人で落ち着いて仕事ができる在宅勤務は理想的な働き方といえそうだ。
NさんもSさんも発達障がいと診断されたことで自分の特徴を理解したうえで、長く安心して働ける職場を探しを始めた。
「障がい者のための就職・転職フェア SMILE」の出展企業はいずれも障がい者雇用実績があり、採用に積極的な優良企業だ。 来場者からは「初めて参加したのですが、とても勉強になりました。就職につながれば良いですが、また次回も参加したいです」という積極的な声があった。 |
(取材・文/向山勇)